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風のカケラ

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あなたのお弁当の包みが

緑のペイズリー柄だったり

あなたの使うケシゴムが

オレンジと白のしましまだったり

水道場で偶然に

あなたが隣で蛇口をひねってたり

3時限目の数学で

あなたのお腹の鳴る音が聞こえたり

 

卒業して

 

そんなあなたのカケラたちが

色んなところに落ちていました

 

真っ白になった黒板消しを

窓を開けて勢いよくはたけば

新鮮な空気と懐かしい香りが

初夏の風を連れ空へと消えていくんです

 

ふわりと舞っていつかの季節の風となり

 

高く高く

雲の上まで

そしてまたいくつもの風とともに

わたしの横に吹くように




外側と内側の狭間

私の外側だけが

ものすごい速さで

時に連れ去られていく

 

私はというと

 

ただただ戸惑い

一緒に連れられたいような

テコでも動きたくないような

矛盾と手を繋いだまま離れない

 

私の内側だけが

 

凍りついたように静止し

時を見送り続けている

 

少し油断すると

 

過去が根こそぎ私をさらうから

今はただ繋いだ指に力を入れるだけ



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